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冷え切ったキャラメルを口の中で融かす。真白い壁を睨みつける。ピアスホールを開けた冬の25時を思い出す。踵がすり減った赤い厚底のパンプスを思い出す。なにもかもがそれだけで、どこにも居場所がなくて、誰からも嫌われて誰もを嫌って、友達がライブ会場にしかいなかった、大事な青春を思い出す。やさしくて幼い記憶で心に傷を付ける。喉に絡まるあまい絶望に魘される。意味もなく涙が出る。もう何も、何ひとつも残ってないけど、帰る場所があってよかったって、思う、きっとこれは、悪あがきみたいなものだけど、どうか許してください。貴方だけが私の神様だから、勘違いでも錯覚でもそれが私のすべてだから。どこまでも勝手に信じる。呪いみたいに愛し続ける。殺されるなら、貴方の歌が良い。貴方の歌で殺してほしい

かなしいうた

 
 
九月八日

秋がくるのがうれしい。秋になると突然、今までの長い人生のすべてが無意味だったように思えてくる。得体の知れない幸福感と厭世感の狭間でふわふわする。肌寒くなっていくのにつれて活気を失っていく街が好き。さみしさが映るきみの顔が好き。

秋の季語    グレーのニット、スウェードのハイヒール、YSLの14番
 
 
 
 かなしいとか全部ひとりでどうにかしたい。他人に頼りたくない。
「大丈夫?」「平気?」って聞かれた瞬間に誰よりも大丈夫じゃなくなるんです。平気だったことが急に平気じゃなくなるんです。他人のやさしい言葉に心の要塞を破壊される。脆い、だから、ますますひとりでいるしかない
ぼくが不幸じゃなくなったらみんな嫌いになるくせに。ひどい話だ
かなしいことなんて今更つらくない、だって悲しい歌には意味はないけれど悲しい歌を歌うその行為には価値がある。世の中はそうやって出来てるって神さまが教えてくれた
 
 
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おやすみ   夢でまた
 

メトロポリタン ジュブナイル 改

 
どうにもならないときに聴く曲はいつも決まってる。安物のイヤホンで心に蓋をする。十代の自殺   teenage suicides   は年間で九月一日が最多らしい。まるで近代文学にありがちの呆気ない結末、結末にしてそこに終着点は無く、届きそうで届かなかった夏への生ぬるい未練だけ残していくおわり方、慈しみと狂気が混ざったたったひとつの呪縛みたいに。夏なんてずっと、はじまる前から鬱陶しくて、終わる前から恋しい。
 
 
 
大事な存在が、大事なのに、どんどん遠ざかっていく、ぼくの嫌いなものに近付いていく感覚、じりじりとほんの僅かずつ足元を焼かれているような、冷や汗が目に染みて痛いようなこの感覚は、きっとまっしろい空をまばたきしながら見たような、淡い淡いピンク
視界が塗りつぶされるようなピンク
何もかも覆い尽くすピンク色
今この瞬間もどこかで誰かが手首を切ってるなら    ピンクのネオンなんてもういらない
 
ぼくは良い子じゃないから、死んでいく星に祈るなんて馬鹿げたことはしませんでした
 
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青はよろこびと哀しみと世界のすべて
白は憂いと幼さと夢
黄色は滑らかさと愛しさと甘味
紫は嘘
淡いピンクは恐怖と憤りと遣る瀬ない気持ち
黒はやさしさ
 
夜は目隠し    朝は償い   白昼夢
 
metropolitan juvenile delinquents
裏切りの前にモラトリアムなど存在しないのだ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

7分 で melancholy

 
最近のこと
17日に誕生日を迎えてひとつ歳をとりました。
大好きな女の子から花束をもらったよ
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はやく大人になりたいと常々おもっている、つまりはまだまだ子供ということです。
 
 
一昨年にはできたことが去年できなくなって、去年できたことが今年はできなくなって、何かが少しずつ衰退してはいるけど、きっと人は誰だって自己防衛のための退化を必死に繰り返してる。嘘をつくことだけは上手くなるけど、その分賢くなれば良い。トイレの個室の中で声を殺して聞く誰かの内緒話は胸糞悪くてちょうかわいい。何もかもが敵になったって、カーテンを閉め切った部屋でパソコンを立ち上げれば(負けるが)勝ち。
世界がやさしくなればいいのになんて毎日毎日おもってるけど、本当は世界がやさしくなくたって、きみがやさしくしてくれればそれで良い
 
 
 
6月が死んだ火曜日の午後    だれかの忘れ物の紙袋が揺れている。
またそれもひとつの嘘。
 

矛盾と憂鬱なフライデー

 

平和主義のぼくだが、羨望や嫉妬で狂ってしまいそうな日もある。

ぼくにはないものをすべて、ひとつ残らず持っているあの子がうらやましい 美しさと、無責任さと、それでもいいかって笑えるメンタル
生まれてきて早18年、疑問符だらけの18年間。
許されるならずっとずっとずっと寝ていたい
 
舌がざらつく夜
 
 
生きるの退屈なんておもわないから、こういう感情が、こういう文章が、SNSが、絵が、ぜんぶが恥ずかしくなるまで生きてみたいような、明日には死んでいたいような
オタクとは使命感で生きるいきものなの