孤独とフラストレーションで孤独を選んだ、鈍痛と鋭痛で鈍痛を選んだ。ぼくは元来そういう人間だ。自分では気になって仕方無いことを他人はさほど気にしていない。さほど愛されていない。さほど悲しくもない。平成28年の日本で、SNS依存から救われる手段はどこにもない。幸せを捨て、可能性を捨て、人望を捨て、大事なものをひとつずつ捨てて生きている。恋人の自撮りでもBL漫画のカバー裏の番外編でもリストカットでも推しのパンダ耳でも救えない闇があるって初めて知ったから世界が怖い。全部なかったことになれば良いのに。生まれてこなければ良かったのに。何度も何度も。愛しさは憎く、愛されることはおそろしい。辛くて悔しくて虚しくて悲しい。いろんなものを物理的に破壊した、プラスチックの破片で怪我をしても誰かがやさしくしてくれるわけじゃないのに。何もかも叶わないなら殺してください。教えてください。善とか悪とか。責任とか。人生とか。幸せになる方法は誰が教えてくれますか。電気を消した浴室で、体温と変わらない温度のお湯に浸かってじっと目を閉じている時間だけが、ぼくの世界を青くしてくれるたったひとつの約束だったのかもしれない。